2017年9月23日土曜日

登録有形文化財答申記念 講演会&シンポジウム(報告)

去る9月17日(日)三光寺にて、台風の風雨が心配される中、およそ80名の方々にお集まりいただき、講演会&シンポジウムを開催しました。

参加者の面々は、新発田市副市長をはじめ、市議会議長、国県市の各議員、観光協会専務理事、市の課長・課長補佐、そして市内のまちづくりに携わる様々な団体の皆様という、そうそうたる方々がずら~り! その他、主催者である「新発田まち遺産の会」のメンバー、一般市民の方々にもご参加いただきました。

ちょっと前置き。
ここ、アサテラブログでは度々、「新発田まち遺産の会」の活動を取り上げていますが、これはお寺の存続・活性化とも大いに関係があるからです。どこのお寺も歴史は古く、ほとんどが文化遺産。建築年の新しいお寺も、いずれは文化遺産となります。お寺以外の文化遺産と共に手を携えて、文化溢れる新発田を目指していければと思います。なので、今後もこのブログでも度々、「新発田まち遺産の会」の活動を紹介をさせていただきます。

というわけで、本題。
この度、新発田では登録有形文化財の5件の答申がなされました。これからも、「新発田まち遺産の会」としては、どんどんその数を増やしていく予定です。一方、新発田市では今年度、「歴史的景観レスキュー事業」を立ち上げ、歴史景観に寄与する文化遺産建築を支援していくこととしました。
しかし、もっと広い視野に立ち、かつ積極的に推し進める方策はないものか。
この度の講演会&シンポジウムの目的は、正にここにあります。「今後、新発田市が文化遺産を活用したまちづくりを進めるにはどうすればよいのか」について、学び、方針を探るために企画したものです。

講師は文化庁地域文化創成本部広域文化観光・まちづくりグループの藤本慎也リーダー。この分野の最前線で活躍されている、正に文化行政のエキスパートです。
藤本様からは、数年前に新発田市で「新発田市歩く旅のまちづくり協議会」が文化遺産調査を行い、かつ構想をまとめた経験があることから、これをたたき台にして、
新発田市(行政という意味)が、
「歴史文化基本構想」
を作ってはどうかというご提言をいただきました。「歴史文化基本構想」とは、いわば市町村における文化財保護・活用のためのマスタープラン。村上市が昨年策定した「歴史的風致維持向上計画(歴まち法)」など、様々な展開はその後として、まずはこれを作ることから始めてはいかがか、というのです。
つまり、市民団体が登録有形文化財を増やす活動を行うなど、できるところから始めるのも手だが、そもそも新発田市としてきちんとマスタープランを策定することが、結果として早道であると。では、何をするかというと、
①文化財の現状を調査・整理する
②文化財を保存・活用するための構想を作る
ということです。
また、策定後の効果として、
①市民みんなで文化財を保護しようという機運が高まる
②文化財を核とした地域の活性化が図られる
③市民や関連市民団体の連携協力が推進される
などが期待されるとのことでした。
つまり、これを作ることによって、
スタートラインが明確となり、どこにゴールを設定すればよいのかが見えてくる
というわけです。

さて、次に、講演会に引き続いてシンポジウム。
藤本様にはコメンテーターになっていただき、パネラーとして黒野弘靖准教授と伊藤晋栄新発田まち遺産の会会長。そして、コーディネーターとして渡辺斉新潟県建築士会常務理事(新発田市景観アドバイザー)という顔ぶれでした。
はじめに、伊藤会長から会を代表して熱い想いを語っていただき、続いて黒野様から米倉集落を例に挙げて新発田の文化遺産の素晴らしさをご説明いただきました。
また、渡辺様の名コーディネートのおかげで会場からも多くのご意見・ご提案が出て、会場は実に盛り上がりました。
紙面の関係で内容は省かせていただきますが、とにかく、皆さん新発田のことを本当に愛しています。それも、とんでもなく熱く! 新発田の文化を、文化遺産を、まちづくりをなんとかしたい。こんなに純粋に新発田のことを愛している人がたくさんいるのです(この人たちこそが、実は新発田の最も大事な財産!)。

さて。
講演会&シンポジウムの後は、会場を清水園内「米蔵ココロ」に移し、盛大に祝賀会が催されました。アルコールが入ると皆さん一層饒舌に! ヤケドしそうになるほどの熱さで想いを語り合いました。いや~、ホント、楽しかったな~!

そして。
一夜明けた翌日の午前中、私と伊藤会長とで藤本講師をお連れし、市内見学。「清水園まんじゅう」を買い込んで、米倉まで足を延ばしてきました。
藤本様には新発田を気に入っていただけたかな? これからも、ぜひご相談に乗っていただきたいです。新発田の応援団になってほしいなと思いました。まったくもって、大変にありがたいご縁でありました。

というわけで、最後に。
今回の講演会&シンポジウムを体験しての私の感想ですが、
多くの熱い熱い市民の想いを十分に注ぎ込んで、一刻も早く新発田市に「歴史文化基本構想」を作っていただきたい
と思った次第です。行政としての事情も多々あるでしょう。そう簡単に作るわけにはいかないかもしれません。
もちろん、「新発田まち遺産の会」としては今後もひたむきに活動していきますし、行政へは全面的に協力・支援していくつもりです。
他団体や市民も一緒に、官民一致協力して、みんなで「文化遺産を活かしたまちづくり」を進めていけたらすばらしいと思います。

以上、ご報告です。長々と失礼しました!

講演会風景(1)

講演会風景(2)

藤本講師

「歩く旅のまちづくり協議会」の取り組みが、
全国事例の5つの中のひとつとして取り上げられました。

構想としてまとめられています。

これも成果のひとつ。まち歩きマップ。

黒野先生(左)、伊藤会長(右)

藤本様(左)、渡辺コーディネーター(中央)、市民の方(右)

最後に、三光寺ご住職からも感想をいただきました。